AI時代のWebサイト集客施策「AIO」をざっくり解説

気になることがあればとりあえずGoogleで検索、そんな日常が大きく変わりつつあります。これまで情報収集の際に最も利用されてきた手段といえば、Google検索に代表される検索エンジンによるキーワード検索でした。しかし昨今ではGoogleの検索結果にAI Overviewと呼ばれる生成AIからの回答が表示されるようになったり、Microsoft BingでもCopilotSearch、もしくは従来の検索エンジンではなくChatGPTやPerplexityのようなチャットボットサービスを介して情報収集する人が増えていたりと、人々の情報収集の在り方が大きく変わり始めています。 これまでWebマーケティングの分野ではSEO(検索エンジン最適化)のように自社サイトを検索結果上位に表示させる施策が重要視されてきましたが、Googleの検索結果にAI Overviewが表示されたケースでは、それまでに表示されていた検索結果のクリック率が最大34.5%低下した、という調査報告*も出てきています。
*出典:Ahrefs(SEOツールプロバイダー)による調査 https://ahrefs.com/blog/ja/ai-overviews-reduce-clicks/
つまり、或るキーワードで検索結果の上部に自社サイトが表示されていたとしても、「思ったようにサイトにユーザーが流入してこない」「上位表示されているのになぜかPVが減ってきている」ということが起き始めているのです。
AIOとは?
そんな中で今注目を浴びているのが「AIO」です。AIに自社サイトを参照してもらえるようにしたり、回答の中に自社コンテンツが反映または引用されやすくなるように、Webサイトをそれに適した構成・内容にする施策です。ちなみにAIOのほかにもLLMO、GEO、GAIO、AEOなど「生成AI向けにWebサイトを最適化する」という文脈で使用されている言葉が複数あります。厳密にはそれぞれ異なる意味を持っていますが、各種関連企業のブログやニュース記事などでは解釈や説明内容が異なっていて用語の定義も錯綜しているようです。なぜこのような状況になっているのかをAIチャットボットに聞いてみたところ以下の回答でした。
”いずれも2023年以降に急速に普及したAI・生成AI文脈発のマーケティング用語であり、学術的・業界標準の定義が存在しません。そのため業界全体が模索中で、ガイドラインや標準が成熟しきっていない段階です” ―Perplexityによる回答―
この記事は専門家向けのものではなく、とりあえずのざっくりとした理解を得たい方向けに執筆しており、各用語について厳密に理解していただく必要はないと思っています。そのためこの記事では最も広い概念を指す言葉である「AIO」という言葉を使用しながらそれが具体的にどんなことをする施策なのか、について要点だけ解説したいと思います。
今現在AIツールからの流入は発生しているか?
まずは今現在、AI検索ツールからユーザーの流入が発生しているのかをGoogleアナリティクスなどで確認してみましょう。以下はGoogleアナリティクスで確認できた弊社産案HPの一定期間内の訪問数です。

弊社のHPではChatGPTやPerplexityからの流入が発生していることがわかります。特にChatGPTからの流入が多いですね。ということは特にChatGPTからの流入を更に増加させることを意識してAIO施策を進めると良いかもしれません。
従来のSEO対策も大事
では仮にChatGPTからの流入を更に増やしたいとして、どうしたらいいでしょうか。AIの回答に自社サイトの内容を反映してもらうためには、「検索順位が高いページ」であることが有利であると言われています。AIはGoogle検索やBing検索など、従来の検索エンジンで上位表示されているWebサイトを「信頼性の高い情報源」として認識して参照しやすい傾向があります。ちなみに代表的なAI検索ツールではそれぞれ以下の検索エンジンを主な情報源にしているようです。
※各AI企業の方針によって随時変更される可能性があります。
ということはつまり、従来の検索エンジンに対するSEO施策がそのままAIO対策にもなる、ということになります。ChatGPTはGoogle検索結果を主な情報源としているため(2025年7月時点)、Googleの検索結果で自社サイトがより上位に表示されるようにしておくこと、つまり従来のSEO対策が結局のところChatGPTからの流入を更に増やすための施策にも繋がっていくのです。
AIに参照されやすいコンテンツ
実際にAI検索ツールから、自社サイトのどのページに流入が発生しているのかを確認してみましょう。これはGoogleアナリティクスから確認することができます。各種AI検索ツールからの流入が発生しているページをピックアップして、それらのページの内容になにか共通点がないかを考えてみます。その際のチェックポイントとしては例えば以下のような点が挙げられます。
・ TOPページか下層ページか
・ サービスの紹介ページなのか、ブログなどの記事ページなのか
・ 具体的な数値を用いた解説や説明が多いページかどうか
・ どこかから引用した情報が多いのか、自社の独自情報が多いのか
このような観点でAI検索ツールからの流入が発生しているページになにかの共通点が見つかるようであればそれが自社サイトにおいて “AIに参照されやすいコンテンツ” であると判断できます。今後ページの追加や改修をする際には、その特徴を意識したコンテンツ制作が求められます。
AIが理解しやすい文章の構成
AIは人間のように言葉の意味を本質的に理解しているわけではなく、単語やフレーズのつながり方とそのパターンをもとにして、次に来るべき言葉を予測することで文章を生成しています。そのため “具体的かつ明確” な文章であればあるほど、AIが構造を理解しやすい(=AIに引用されやすい)文章になります。逆に曖昧な表現や抽象的な言い回しで構成されるような文章(感想や漠然とした内容)だと多様な解釈ができてしまい、AIが情報を正しく理解することが困難になってしまいます。
悪い例 : お客様のニーズに応えます。
良い例 : 各企業様毎の販売ニーズに最適化した広告戦略を提案します。
悪い例 : 様々な業務を効率化します。
良い例 : 営業チームのスケジュール管理から見積作成までを自動化し業務時間を削減します。
上記例のように、ビジネスシーンでよく言及されるような、5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)の考え方を前提としてページ内の文章を作成することも非常に有効といえます。
その他の施策
ページの表示速度
ページの表示速度が遅いとAIが情報を正確に評価・引用できないリスクが高まります。これは従来のSEO施策でも重要視されるポイントですが、AIにとっても処理速度の向上が期待でき、それによって結果的にAIの回答に引用される機会や質の向上にもつながります。
llms.txtファイルの実装
従来のSEO施策ではWebサイトに「robots.txt」や「sitemap.xml」といったファイルを実装することが重要視されています。これらのファイルついて詳しい説明はここでは避けますが、いずれもWebサイトのデザインや機能性に直接関係するものではなく、検索エンジンにサイト内の情報を恣意的に伝えることで検索結果へ表示されやすくするためのものです。AIOにおいてもこれと似たようなAI向けのファイルがあります。それが「llms.txt」です。「llms.txt」はAIがWebサイトの情報を正確かつ効率的に理解し、適切に引用するためのガイドとなるファイルです。llms.txtによってWebサイトの内容をAIにわかりやすく提供することで、AIの回答に自社サイトのリンクや情報が反映されやすくなり、アクセス流入や認知向上につながるというメリットがあります。ただし現時点でGoogleのGeminiやOpenAIのChatGPTにおいて、llms.txtファイルを参照しているという公式の声明はないようで、一部では実装する意味はほぼ無い、という意見もあるようです。そのためllms.txtファイルの実装に関してはあくまで「今後重要になる可能性のある施策」として捉えておくのが良いかもしれません。
まとめ
こうしてみてみると、AIに自社サイトを参照されやすくなるようにしてAI検索由来のサイト流入増加を図る上では従来のSEO施策がまだまだ重要であることがわかります。またよくいわれることですが、テクニカルな施策に過剰に傾倒するよりも、Webサイトを使いやすくし、独自性のあるユーザーにとって有益なコンテンツを提供することが結果的に最善のSEO施策になる、という点はAIO施策についても同様のことがいえると思います。そう考えると、そもそもの自社の独自性やブランド力を高め、それをわかりやすく丁寧にサイト内で示していく、ということが最終的には最強のAIO施策になるのかもしれません。


