ChatGPT広告とは?会話の文脈に連動する新しい広告配信の仕組みを解説

既にご存じの方も多いと思いますが、OpenAI社の生成AIチャットボットChatGPTに広告を出稿できる「ChatGPT広告」の提供が今年6月ごろから開始されています。運用型広告としてリリースされているので、基本的には広告主が自分で広告アカウントを登録して出稿を始めるセルフサーブ方式での提供となっています。今回は利用頻度が爆増している主要な生成AIサービスの中でも他社に先駆けて広告事業を本格化させたChatGPT広告について、基本的な仕組みや仕様をわかりやすく解説したいと思います。
掲載イメージと仕組み
広告表示位置
ChatGPT広告は質問に対する回答末尾の下部に表示されます。広告は回答内容とは視覚的に区別された位置に表示され、広告であることが明示されます。広告は、画像・ロゴ・企業名・タイトル見出し・説明文で構成されるシンプルな形状です。
広告が表示されるユーザー
広告が表示されるのは無料プランとGoプランのユーザーです。Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduといった上位プランのユーザーには表示されません。また18歳未満と判断されたアカウントでは表示されません。
広告表示の仕組み
以下のような要素をAIが総合的に分析し 「今、最も効果がありそうな広告」が自動選定されて配信されます。ユーザーの会話内容や利用傾向をコントロールすることはできませんが、広告から遷移させるページの内容はできるだけAIフレンドリーにしておいたほうがよさそうですね。
・ユーザーがリアルタイムに会話している内容
・広告からの遷移先ページの内容
・ユーザーの過去の利用内容や傾向
課金方式
広告がクリックされる毎に課金される「クリック課金」、または広告表示1,000回あたりで課金される「インプレッション課金」のいずれかから選択できます。いずれも従量課金制です。実際の現場ではクリック課金を選択するケースが多いと思いますが、新たに登場した媒体はまだ競合が少ないためクリック単価が相場感より安く済むこともあります。出稿するならまさに今が狙い目かもしれませんね。
ChatGPTの回答への影響
広告がChatGPTの回答に影響を与えることはありません。広告はチャットモデルとは別個のシステムで配信されているため、広告主がChatGPTの回答に影響を与えることはできません。
ターゲティング方法
配信地域・配信除外地域
配信対象地域の設定は、国単位又は都道府県単位です。現時点で市区町村単位までは設定できないようですのでここは今後のアップデートに期待しましょう。指定した地域を配信から除外することもできます。
コンテキストヒント
これがChatGPT広告の一番の特徴といえる機能です。「どんな悩みや検討状況のユーザーに自社の広告を届けたいか」をAIに文章で指示する機能です。
・ 広告主例
業種:オンライン英会話サービス
特徴:ネイティブ講師とのマンツーマンレッスンを提供。スマホから好きな時間に受講可能
・ コンテキストヒントの設定例(上記広告主の場合)
「英語を話せるようになりたいが仕事や学校が忙しく決まった時間に英会話スクールへ通うことが難しい人」
「オンラインでネイティブ講師とマンツーマンで英会話を練習できるサービスを比較検討している人」
コンテキストヒントは 「誰が、どんな人が」 「何をしたい、何に困っている」 「何を探している」といったような要素を文章内に含めることが重要とされています。このように、ユーザーの状況・目的・探しているものまでを含めて記述することで、会話と広告との関連性を判断するための情報をChatGPTへより具体的に伝えることができます。
他の機能
・ カスタムオーディエンス
自社所有の顧客リスト(メールアドレス等)をChatGPT広告にアップロードし、特定のユーザーに絞って配信します。通常はMAツールやCRMなど広告主企業側で顧客管理のために利用しているツールのデータを利用します。既存顧客や見込み客のメールアドレスまたは電話番号データ等を数万件程度抽出して使用するイメージです。
・ 商品フィード
自社の商品在庫データをアップロードして広告のタイトル見出しと説明文を自動生成します。主に総合系ECサイトや多職種の求人サイトなどで大量の在庫に個別に合わせた広告を自動生成して配信できる機能です。
出稿できる業種、出稿できない業種
ChatGPT広告は現時点(26年8月現在)ではベータ版として提供されています。現状のベータ版ではまだ出稿可能な業種が或る程度限られているようです。OpenAI公式ページでは出稿できる業種とできない業種を大まかに以下のように公表しています。
出稿を予定する商材・サービスが出稿可能なジャンルに該当するかどうかの事前判定が難しいため、実際に広告アカウント申請を行うことで掲載可否の確認を行うことが前提になります。
他のWeb広告との違いや特徴
Google広告やMETA広告など他のWeb広告が「キーワードや興味関心に対するマッチング」であることに対してChatGPT広告は「文脈マッチング」であることが一番の違いです。例えばGoogle検索では一般的に2語、3語といった短い語句の情報を頼りに広告をマッチングさせています。対してChatGPTのプロンプト(質問文)は何十といった語句で構成された文章とその文脈でマッチングします。このようにGoogle検索とChatGPTではユーザーとシステム間で行う対話の情報量に大きな違いがあります。ユーザーは断片的なキーワードで検索する代わりに、自分の状況や条件を具体的に言語化してChatGPTに相談するため、そこから拾える文脈の解像度が格段に高くなります。
例えば「求人サイト」という検索語句は「応募したい求職者」側が検索しているのか、「人材採用のために求人サイトへ出稿したい企業」側が検索しているのか、それだけでは判別がつきません。この場合、検索広告では「出稿したい企業」側に通常の求人募集広告を表示してしまうケースも考えられます。一方、ChatGPT広告は文脈でマッチするため「アルバイトを採用するのにお勧めの求人媒体は?」という質問の文脈までを捉えた上で「出稿したい企業側」にマッチさせた広告を表示させることができます。
またMetaやTikTokなどのSNS広告は、ユーザーがフィードを眺めている最中に広告を割り込ませる形式であるため閲覧の流れを中断させてしまう特徴も持っています。対してChatGPT広告はユーザーが課題解決を求め相談する過程でその文脈に合わせて広告が表示されるので購買までの導線が自然に成立しやすい点も特徴として挙げられます。
まとめ
今回はChatGPT広告の基本的な仕組みや仕様について解説しました。前述したとおり従来の検索広告のようなキーワード(単語)単位でのターゲティングではなく、文脈全体を捉えて広告を届ける「文脈マッチング」という発想が、この新しい広告の一番の特徴です。
昨今では生成AIサービスの登場によってユーザーの情報探索や購買プロセスそのものが大きく変わりつつあります。AIチャットを経由する新たな購買パターンが生まれるなかで、 ChatGPT広告は今後重要な立ち位置を確保する可能性も秘めています。
競合の少ない今の段階だからこそ、小さな予算からでも試験的に触れてみることで得られる知見は大きいはずです。まだ未知数な部分も多い広告ではありますが、いち早く積極的にマーケティングプランに取り入れることで先行者利益を享受できるタイミングかもしれません。弊社産案でもChatGPT広告の出稿支援を行っておりますので、是非お気軽にご相談ください。


